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光のはしら通信

光のはしら通信

ぴこちゃんの話

☆ぴこちゃんの話☆



ぴこちゃんはパンダマウスです。

秋のある日、どこからか逃げ出してきたのか、商店街を彷徨っていて車に轢かれそうになっていたところを友人に保護されました。

友人宅にはネコがいたため、飼い主が見つかるまでの間私が保護することになりました。

初めてぴこちゃんを目にしたとき、何の動物かもわからず、妖精かと思ったものです。

すんごく小さくて、きれいなのです。フィルムケースに入っちゃうくらい。

方々に張り紙したものの元の飼い主は見つからず、私の家族となりました。

それから1年と2、5ヵ月の間共に暮らしました。

テーブル(座卓)の上にぴこちゃんハウスを置き、合図をすれば天井のドアを開けてあげ、はしごをかけてテーブルの上に降りてきて遊べるようにしました。

遊びまわって満足するとはしごを昇っておうちの中へ帰っていきました。

広場(テーブル)に出たい合図は天井伝いに歩くことでしたが、その前に視線で合図してくるのです。

私が出かけるために支度をして、いざ部屋を出ようとする時に限って合図をしてくることが多くて、親バカな私は約束の時間に遅刻しそうになりながらも5分、10分は出してあげたりしていました。

それでも本当に急いでいるときには視線を合わせず、気がつかないフリをしたこともあったなあ。。。

どんなに急いでいても、目が合ってしまうと
負けてしまうのです。

広場にはトイレットペーパーの芯やらフィルムケースやら遊べるものをたくさん置いていました。

ある時そこにハムスター用の回し車が加わりました。何週間もの間無視していたのに、ふと、ぐるぐる回ることを覚えてからはブームになりました。

でも飽きちゃったんですねえ。

熱しやすく冷めやすい一面があったんです。

中でもぴこちゃん人生の中で最大のヒットは、ハムスターのドワーフボール。

ボールの中に入って動くとボールごと前に進めるので、床の上で遊べるというものです。

これにはハマりにハマりました。

これも合図があって、ドワーフボールを2つに割って広場に置いておくのです。

その中に自分から入ってきたらボールにして床に放してあげます。

夢中になってボールごと転がっているぴこちゃんは本当にかわいかったです。

私には終わりにしたい合図はわからないので、頃合いを見計らってまたボールを2つに割ってぴこちゃんをテーブルの上に帰してあげるのですが、絶頂期の頃はテーブルに戻された次の瞬間、もうボールの中で待っているのです。

そうして夏の暑い時期に朝から数時間くらい熱中しているんです。

ボールごと走り回るぴこちゃんは得意満面でした。





いつも元気いっぱいのぴこちゃんだったけど、一度だけ病気をしました。

喉に腫瘍ができて切り取る手術をするために入院したのです。

入院先に面会に行ったら、ゲージの隙間から脱走して大騒ぎになったらしい。

幸い無事に保護されて新しいゲージに入れられていましたが。

入院は1週間か10日くらいでしたが、とても長く感じたものです。

退院して我が家に戻ってきたぴこちゃんは、そこが慣れ親しんだ自分の場所と知るや否や、大喜びで広場中を駆け回ってはハウスの中に戻ったり、またまたはしごを伝って降りてきて走り回ったりと大興奮でした。

痩せて手術の糸も垂らしたままで。

再び我が家に戻れた喜びが、全身から伝わってくるのです。





本屋さんにてしばしば立ち読み調査をしていたので、パンダマウスの寿命が1年くらいであることは知っていて、一応覚悟はしていました。生きている長さではなく、その間を幸せに過ごしてくれればそれでいいと考えていました。

もともと私には現世単位ではない魂単位で捉える癖みたいのがあって、肉体の死それ自体を多分他の人ほどは悲しいとは思わないところがあります。

それでもあんなに生き生きとしているぴこちゃんに死が訪れることがあるなんて、どうしてもぴんとはきませんでした。

出会って1年と1ヵ月を過ぎても元気いっぱいだったのです。

けれど亡くなる1ヵ月ほど前あたりから変化が訪れました。

初めははしごを昇り降りする際によく踏み外すようになり、次第に私の援助も必要なくなっていきました。

ハウスの中でもあまり動きまわることがなくなっていったのです。

毛が抜けて老け顔になって行き、頭もボケてきたようで、私のことがわからなくなったように視線が合わなくなったし、食べ物を入れたお皿の上で寝てしまったりするようになりました。

亡くなったときは老衰だったと思います。

最後にぴこちゃんを見たとき、私は出かける直前で、何故か視線を感じ、見てみると、ボケてるはずのぴこちゃんが私をじっと見つめているのです。

亡くなった瞬間は意識の深いところで何となくわかりました。そのとき私は別の場所にいて、説明できない思いに駆られ、イメージの中でひたすらぴこちゃんを光で包んでいたのです。

意識の浅いところでは信じていなくて、
帰宅してもう動かなくなったその姿を見たときは本当にショックでした。

怒涛のごとく押し寄せる悲しみの波に思い切り身を任せたあとには、とても静かな安らいだ気持ちになり、改めてぴこちゃんの顔をみてみると、不思議なことに、若返っていて、女神さまそのものの顔をしているのです。

部屋中に神聖さが満ち溢れ、目の前に光が現われました。

ゴールドをベースに赤や青や緑などカラフルな光がいっぱい、楽しげに動きまわっているのです。

20分ほどでその光は消えたのですが、翌日やはり同じくらいの間同じ光が現われました。





あれからもう随分と月日が流れましたが、
肉体の死は、私とぴこちゃんとの間に交わされた愛を何も変えてはいない、と感じています。












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